CBD(カンナビジオール;非精神活性物質)は海馬依存性の記憶障害に対するΔ-9-テトラヒドロカンナビノールの悪影響を打ち消す可能性があると言われている。エピソード記憶に対するCBDの効果を調査した。
研究方法
方法として、34名の健康な若い被験者(18~30歳)を対象に、5%カンナビジオールを含むCBDリキッド:0.25mL、12.5mLを1回投与した二重盲検プラセボ対照無作為化クロスオーバー試験を実施した(スイス、バーゼル大学、2018年9月~12月のうち2日間実施)。学習20分後の言語記憶パフォーマンス(N-バック課題※)を評価尺度とした。
※ワーキングメモリ能力を測定する方法のひとつ。現在表示されている問題に答えるのではなく、N個前に表示された問題に答える。1つ前の問題に答えるのを「1バック」、2つ前の問題に答えるのを「2バック」という。
研究結果
結果として、性別、年齢に関係なくCBDは言語エピソード記憶能力を強化した(単語の平均増加量10%)。注意または作業記憶のパフォーマンスに対する投薬の影響は検出されなかったことから、CBDが基本的な認知機能に悪影響を及ぼさないことを示唆している。
しかし、BMIとCBDとの相互作用には関係があり、BMIが低い被験者にはカンナビジオールの用量が高すぎて記憶を増やすことができなかった可能性を示唆している。
結論として、CBDが中央の内在性カンナビノイドシステムと相互作用し、記憶プロセスを調節することができるという考えと一致している。
最適な用量反応関係と時間反応関係の調査については、さらなる研究が必要である。