うつ病、認知機能とそれら栄養状態との関係について検証した。
研究方法
スペイン(ガリシア州)の老人ホームからの参加者113名に対し、総合的な神経心理学的検査(※)を実施し、参加者を「認知的に無傷(CI)」「軽度認知障害(MCI)」「認知症(ACD)」の3グループに分けた。
また栄養状態も、血液由来の指標、体格指数(BMI)、栄養スクリーニング検査(MNA-SF;栄養失調またはそのリスクがある高齢者を特定するツール)を用いて検査した。
これらのデータをもとに、多項ロジスティック回帰ほか分析手法を適用し、栄養変数と認知機能の関連性について検証した。
※一般的なスクリーニング検査 (MMSE) やさまざまな認知領域の検査、日常生活動作 (ADL) の測定、抑うつ症状の評価 (GDS) を含む。
研究結果
認知機能3グループ間の差は、抑うつ症状、ビタミンAおよびD、アルブミン、セレン(Se)、尿酸(UA)、およびBMIで統計的に有意だった。
多項ロジスティック回帰の結果、認知機能の高さと、ビタミン A と D、トランスサイレチン (TTR)、アルブミン、Se、および UA の濃度が高いグループ間には正の相関が見られたが、BMI については負の相関が見られた。
うつ症状は、CIグループと比較してACDグループの方が大きかった。
結論
ビタミンA、ビタミンD、TTR、アルブミン、Se、およびUAの血清レベルが高いと、認知機能低下に対する保護因子として機能する可能性があり、BMIが高いと危険因子として機能する可能性がある。