一人暮らしは社会的孤立や孤独のリスクを高めることにつながり、認知機能低下を悪化させる可能性がある。そこで、認知障害やうつ病のない65歳以上(平均年齢73歳)の高齢者1498名を2年間追跡し、一人暮らしの人が社会的孤立、孤独感、限られた社会活動のリスクが高いかどうかを判断し、一人暮らしと晩年の認知機能との関連を調べた。
研究方法
「社会的孤立」はLubben Social Network Scale–6(LSNS-6)で、「孤独感」はDe Jong Gierveldスケール、「社会活動」はアンケートにて、「認知機能」はケンブリッジ認知検査(CAMCOG)、「認知予備力」は3つの指標(教育レベル、職業の複雑さ、認知活動)を組み合わせることで評価した。
研究結果
一人暮らしの人は一人暮らしでない人よりも家族や全体的、感情的に孤立していたが、友人から孤立することはなく、社会的孤独感にも違いはなく、定期的な社会活動に従事する傾向があった。そして、試験開始時と2年間の追跡後において、一人暮らしは認知機能低下と有意な関連はみられなかった。
一人暮らしが認知機能低下のリスクが高いのではなく、社会的孤立が認知機能低下とより関連している可能性があります。