脳内グルコースホメオスタシスの調節障害はアルツハイマー病(AD)の発症と進行に関与しているが、プロバイオティクスが腸内細菌叢を修飾してADの進行を抑制することが示唆されている。 そこで、プロバイオティクス投与によるADにおける糖代謝障害の改善と病気の進行を遅らせるメカニズムを明らかにするために、ADモデルマウスを用いて研究を行った。
研究方法
8週齢のAD雄マウス(n=48)を2グループに分け、1つには水に溶解したビフィズス菌(SLAB51)2,000億個/kg/日を、コントロール群には水を与え、1群8匹のマウスを8週齢、24週齢、56週齢で生化学的および免疫組織化学的解析のために組織を適切に採取した。 ウエスタンブロッティング分析にてマウスの脳内のGLUT3、GLUT1、IGF-IRβ、AMPK、リン酸化(p-)AMPK、Akt、p-Akt、タウ、p-タウ、およびAGEのレベルを測定し、免疫組織化学的分析で特定の脳領域におけるグルコース輸送体GLUT3およびGLUT1に対するSLAB51の効果を調べた。 また、糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベル測定にはELISAアッセイが用いられた。
研究結果
56週齢でのGLUT3とGLUT1の発現は水を与えたコントロール群と比較してSLAB51摂取群で有意に高かった。また、SLAB51摂取群でpAMPKおよびpAktが調節され、タウのリン酸化が抑制され、さらにHbA1c血漿濃度、脳内のAGEが低下した。
プロバイオティクスの摂取によってADのグルコース代謝障害を改善し、最終的に病気の進行を遅らせる可能性があります。