全身の身体活動は、高齢者の脳容積や認知機能と正の相関があると言われ、娯楽的な身体活動が脳の健康に影響を与えると言われている。しかし、他の日常的な活動の貢献度についてはよく分かっていない。そこで、認知機能が低下していない65~85歳の高齢者66名を対象に、家事における身体活動、脳容積、および認知機能との関連を調べた。
研究方法
身体活動は、電話質問票を用いて評価され、家事とレクリエーションに分けられた。全脳容積、灰白質容積、白質容積を定量化し、認知機能については「記憶」、「注意・作業記憶」、「処理速度」、「実行機能」の4つの領域で評価をした。
研究結果
家事による身体活動は特に灰白質容積と正の相関があり、家事による身体活動が海馬と前頭葉の量と有意に関連していることが分かった。また、家事またはレクリエーションによる身体活動と全体的な認知機能との間には有意な関係は見られなかった。
家事という達成可能でリスクの低い形態の身体活動は、高齢者の脳の健康に有益である可能性があります。