歯の欠損、むし歯、歯周病などの口腔衛生状態の悪さは認知機能障害の関連が示されているが、歯科医院を訪れる患者において、存在する歯の数と認知障害との間に関連性があるのかについてはほとんど情報がない。
そこで、歯周炎(4,009,345名)または欠損歯(662,182名)と診断された60歳以上の患者の歯科医療請求データを使用して、横断研究にて歯の数とアルツハイマー病(AD)の関連性について調べた。
研究方法
残存する歯の数および第三大臼歯を除く欠損歯の数は、歯科医療請求データの歯列式、歯の種類に関する情報、および歯周炎の診断に関する情報を使用して計算し、それぞれ3つのグループ(残存する歯:20~28本、10~19本、1~9本 欠損歯:1~13本、14~27本、28本)に分類した。認知機能障害については、ADと診断された患者の医療費請求データを参考にした。
研究結果
女性、高齢者、残存する歯が少ない被験者、欠損歯の多い被験者ではADの割合が相対的に高かった。また、残存する歯が20~28本の被験者のオッズ比を1とすると、10~19本のオッズ比は1.11、1~9本は1.34であり、欠損歯が1~13本の被験者のオッズ比を1とすると、14~27本のオッズ比は1.40、28本は1.81だった。
残存する歯の数が少ない人、欠損歯数が多い人ほどADのリスクが高い可能性があります。