抹茶粉末には、茶カテキン、ルテイン、ビタミンKなど健康に役立つさまざまな有効成分が含まれており、高齢者の認知機能に効果をもたらすことも知られている。そこで、抹茶を毎日3g補給(12週間)することで地域高齢者(認知症とMCIの診断を受けていない60歳以上の健康な成人)54名の認知機能が変化するかどうかを調査した。
被験者54名の内訳は、日本の男性15名・女性39名、年齢は60歳から80歳の間(平均73.6歳)。
研究方法
試験開始時に認知心理機能テストを受け、抹茶粉末を12週間摂取した後に、再度、認知心理機能テストを受けた。また、各被験者の食生活を知るために簡易な自己管理食歴アンケート(BDHQ)に回答してもらった。認知機能はモントリオール認知評価(MoCA;簡易な軽度認知障害のスクリーニングツール)およびミニメンタルステート検査(MMSE)によって評価した。
研究結果
MoCAスコアに有意な改善が見られた女性被験者に対して、各認知領域スコアの分析を行った結果、言語ドメインが有意な改善を示していた。MMSEスコアには有意な変化がみられなかった。男性被験者にはMoCAおよびMMSEともに有意な変化はみられなかった。食生活の分析では、毎日の食事でのビタミンKの消費量とMoCA変化との間に有意な逆相関がみられた。
抹茶粉末に含まれるビタミンKの毎日の補給が、地域在住女性高齢者の認知機能低下を抑える活性栄養素として作用していることを示唆しています。