高齢者、特に認知機能の低下に伴い脳萎縮率の増加がよくみられる。
ホモシステインの血漿濃度レベルを低下させるとされるビタミンB群(葉酸・ビタミンB12・ビタミンB6)の補給が、軽度認知障害者の脳萎縮速度を遅らせることができるかどうかを評価した。
研究方法
軽度認知障害のある70歳以上168名に対し、葉酸 (0.8 mg/日)、ビタミンB12 (0.5 mg/日)、ビタミンB6 (20 mg/日) を24ヶ月間摂取させた(無作為化比較対照試験)。
評価の指標は、ベースライン時と24ヶ月後のMRIスキャンによる脳全体の萎縮率の変化とした。
研究結果
ビタミンBを24ヶ月摂取したことで脳萎縮速度は低下した。1年間あたりの平均脳萎縮率は、ビタミンB摂取群で 0.76%だった(プラセボ群で 1.08%)。
摂取後の結果はベースラインのホモシステインレベルに関連しており、ホモシステインが13µmol/L を超える参加者の萎縮率では53%低くなった。萎縮率が高い人ほど、試験終了時のMMSEテストスコアも低かった。
結論
軽度認知障害のある高齢者の脳萎縮速度は、ホモシステインを低下させるビタミンB群によって遅らせることができるかもしれない。
脳萎縮速度はアルツハイマー病に移行する軽度認知障害者の特長であるため、同じ治療がアルツハイマー病の発症を遅らせるかどうかを確認するための試験が必要となる。