レスベラトロールの慢性的な使用がヒトの認知機能に及ぼす影響を調査した。
研究方法
座りがちな太り過ぎの高齢者(n=32 65~93歳、平均年齢73.34歳、MMSE24点以上、フロリダ)に対し、3群間(プラセボ、レスベラトロール 300mg/日・1000mg/日)で90日間摂取させた。二重盲検無作為化プラセボ対照試験。
次の項目(※)について治療の前後で測定し、認知機能を評価した。
※
トレイル メイキングテスト
思考速度(順序付け;トレイルA)、視覚探索および認知的交替、切り替え能力(トレイルB)を測定する。
前後の数字
即時聴覚注意(口頭で提示された数字を繰り返す)、作業記憶(口頭で提示された数字を逆の順序で繰り返す)を測定する。
エリクソン-フランカー
右または左を向いた矢印を示すキーを押す。反応速度を測定する。
制御された口頭連想
60秒以内に特定の文字で始まる多くの単語を作る。言語の流暢さを測定する。
ホプキンス言語学習テスト改訂版
言語学習、認識記憶、想起を測定する。
タスク切り替え
文字の母音・子音を判断する、数字の奇数・偶数を判断するという単純なタスクが含まれ、注意の柔軟性を測定する。
研究結果
プラセボおよびレスベラトロール300 mg/日と比較して、思考速度は1000 mg/日摂取群ののトレイル メイキング テストAでのみ改善が見られた(プラセボとレスベラトロール300mg/日はトレイルメイキングテストAで有意差は見られなかった)。
しかし、3群すべてほかの項目ではパフォーマンスの有意差は見られなかった。
結論
レスベラトロールを1000mg/日で90日間摂取すると、思考速度が改善されることを示唆している。
これらの結果は、高齢者の認知機能に対するレスベラトロールの効果をさらに研究していくためのわずかなサポートとなりえる。