フラボノイドの一種であるケルセチンの潜在的な機能を解明するために、ケルセチンを豊富に含むタマネギと含まないタマネギにおける24週間のプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施した。
研究方法
対象は70名の健康な日本人(60~79歳)。ケルセチン摂取量50mg/日(アグリコン同等物として)を24週間摂取後、ミニメンタルステート検査(MMSE)、認知症iPad版(※1)、NPI-NH(※2)にて認知評価に及ぼす影響を調査した。
※1.iPadを用いた脳機能評価であるCADi2(Cognitive Assessment for Dementia iPad Version)。感情の影響を受けることもあると言われる認知機能について、短く簡易なテストで検査が可能。CADi2は認知機能、感情機能のセクションで構成されている。
※2.認知症患者の 行動・心理症状(BPSD)の頻度と重症度および介護者の負担度を数量化することができる神経心理検査
研究結果
MMSE、認知症iPadによる気分評価(うつ)ともに、ケルセチンが豊富なタマネギでは24週間後のスコアが大幅に改善されていることがわかった。
また、ケルセチンはNPI-NH重症度スコアの変化に影響をもたらさなかったが、介護者の負担スコアはケルセチン豊富なタマネギ摂取群で有意に低くなった。
結論
ケルセチンが豊富なタマネギを24週間継続して摂取すると、感情状態が改善することにより加齢に伴う認知機能の低下が軽減される。