食事によるセレン摂取量と中国人成人の認知機能との関連性を調査した。
研究方法
1991 ~ 2006 年中国健康栄養調査 (CHNS) に参加した 55 歳以上の 4852 名を対象に、認知機能について1997 年、2000 年、2004 年、および 2006 年に対面式の認知機能スクリーニング検査(※)を通じて評価された。
食事中のセレン摂取量について3日間の食品消費データ収集し、多変数混合線形回帰とロジスティック回帰を用いて分析した。
※【1】10 単語のリストの即時および遅延想起 (それぞれ 10 点)、【2】 20 から 1 までのカウントダウン (2 点)、および 【3】 連続 7 減算 (5点)で行い、7点未満のスコアをカットオフ値とする認知機能テスト
研究結果
セレンの摂取量が多くなると、全体的な認知スコアとは正の相関となり、自己申告による認知スコアの低下とは負の相関となった。低BMIの参加者において、セレン摂取と良好な認知機能との間に強い正の相関がみられ、対照的に高BMIの参加者では、セレン摂取量と認知機能の間に負の相関がみられた。
サブグループ分析において、セレン摂取量と認知機能との関連性は、南部地域に住む参加者でのみ正の相関で観察され、北部地域の参加者では観察されなかった。セレン摂取量と鉄摂取量の比率は、全体的な認知スコアの低さ(7点未満)と負の相関があった。
さらに、BMIが正常な人だけが、セレンと認知機能の間に正の相関があった。
結論
性別、ライフスタイル、社会人口学的要因に関係なく、55歳以上の中国人ではセレンの摂取量が多いほど認知機能が向上し、認知機能低下のリスクが低下した。セレンの摂取量と鉄の摂取量の間には有意な相互作用があり、セレンの摂取量が多く、鉄の摂取量が少ない人で認知機能が改善された。
また、セレンの摂取量がBMIおよび地域と顕著な相互作用を持っていることもわかった。今後もさまざまな集団でセレン摂取量と血清セレンを繰り返し測定するさらなる研究が必要と考える。