β-アラニンの補給による認知機能、気分、身体機能への効果を検証する。
研究方法
高齢者38名(60~80歳)に対し、β-アラニン(BA)2.4g/日を10週間補給した(プラセボ群41名)。
検査はサプリメント摂取前(PRE)、5週目(MID)、および10週目(POST)に実施され、各テストセッションで、モントリオール認知評価 (MOCA)※1 やストループパターン認識テスト※2などの認知機能を評価した。
併せて、行動アンケート(気分状態のプロファイル、老年性うつ病スケール(GDS)、老年性不安スケール(GAS))および身体機能(握力、座位から立位までの時間測定)も評価した。
※1.実行機能、記憶、注意、言語、抽象化、遅延想起、見当識など、いくつかの認知領域に焦点を当てた簡易な認知スクリーニング。
※2.コンピューターにて4つの単語(赤・青・黄・緑)の学習後、注意力、認知機能、実行機能のテストを行う。
研究結果
MOCA スコアおよびストループテスト、気分スコア、GAS、身体的パフォーマンススコアのいずれにもにおいて、BA群・プラセボ群ともにPRE・MID・POSTにかけて有意な改善がみられたが両群間の差異はみられなかった。
しかし、PREにてMOCAスコアが正常以下の高齢者に対して、BA群のみMIDおよびPOSTにかけてMOCAスコアが大幅に改善した。また、BA群のGDSでは、プラセボ群と比べて有意な減少がみられた。
結論
β-アラニンの補給によって、ベースライン時の認知機能が正常以下である高齢者の認知機能が改善し、うつ病スコアを低下させる可能性があることを示唆している。