米国の認知症患者におけるCOVID-19のリスク、格差、結果に関するデータは限られている。そこで、認知症とCOVID-19の関係を調べるために、2020年2月から8月の期間に米国に住む18歳以上の成人および高齢患者61,916,260名を対象に電子健康記録(EHR)について遡及的症例対照分析を行った。
研究方法
認知症は「アルツハイマー病(AD)」、「血管性認知症」、「老年性認知症」、「初老期認知症」、「心的外傷後認知症」の5種類を対象とし、COVID-19と認知症患者の6か月間の死亡リスクと入院リスクについて、認知症とCOVID-19の有無で比較した。
研究結果
認知症患者はCOVID-19のリスクが有意に増加していた。各認知症患者におけるCOVID-19のオッズ比は、「血管性痴呆:3.17 」、「初老期認知症:2.62」、「老人性認知症:1.99」、「アルツハイマー病:1.86」、「心的外傷後認知症:1.67」だった。認知症の黒人は白人よりもCOVID-19のリスクが高く、ADと血管性認知症では同様の人種間格差がみられた。また、COVID-19と認知症は6ヵ月死亡リスクに相乗効果があり、認知症とCOVID-19を有する患者の6ヵ月死亡リスクは、COVID-19を有するが認知症がない患者や認知症があるがCOVID-19を有さない患者よりも高かった。
米国の認知症患者はCOVID-19のリスクが高い可能性があります。