上海高齢者における食事のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、およびカルシウムとマグネシウムの比率(Ca:Mg比)と認知症リスクとの関連性を評価した。
研究方法
上海都市部に住む認知症のない参加者1,565名(平均年齢71.1±7.2歳、男性731名、女性834名)に対して5.2±0.9年間追跡調査を行い、ベースライン時の食事頻度アンケートから得られた食事性Ca、Mg摂取量と認知症の発症率を統計分析した。
研究結果
追跡調査完了時、162人(10.4%)の参加者が認知症と診断された。ベースラインのMMSEスコアは、食事からのCa、Mg摂取量が多い人ほど高かった。
Ca、Mgの三分位が最も低い参加者 (Ca<339.1 mg/日、 Mg<202.1 mg/日)は、認知症の発症率が最も高かった 。
Ca:Mg比が1.69以下のサブグループでは、Mg摂取量が267.5mg/日を超えると認知症発症リスクが4倍増加することと有意に関連していた。
結論
今回の研究結果では、主に Ca:Mg 比が低い高齢者において、食事からの Mg の多量摂取が認知症のリスク増加と関連していることを示唆していた。
食事中のカルシウムとマグネシウムの適切なバランスは、マグネシウム摂取量と認知症のリスクとの関係にとって重要となる可能性がある。
論文情報
Dietary calcium and magnesium intake and risk for incident dementia: The Shanghai Aging Study
掲載誌 | Alzheimers Dement (N Y). 2022; 8(1): e12362. |
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掲載日 | 2022年12月05日 |
DOI | 10.1002/trc2.12362 |