近年、歯周病原菌などの微生物がアルツハイマー病(AD)の病態に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。そこで、中高齢者の歯周病および細菌のパラメータとAD認知症およびAD死亡率との関連を検討するために行われた45歳以上の中高齢者を対象とした26年間の後ろ向きコホート研究。
研究方法
対象者は年齢によって3グループに分けられ(45~55歳、55~65歳、65歳以上)、歯周炎についてはアタッチメントロス(AL)とプロービングポケット(PPD)の深さで定義し、19の歯周病菌について血清免疫グロブリンG(IgG)力価を調べた。
研究結果
ベースラインの年齢が高いほどALの数値が有意に高く、S.oralisのIgG力価は男性の全ての原因の認知症の増加に関連し、女性ではE. corrodensのIgG力価について同様のパターンが見られ、C. rectusのIgG力価は全ての年齢において全ての認知症リスク増加と関連していた。 P.gingivalisは65歳以上のAD死亡リスクの増加と有意に関連し、AD死亡リスクはS.intermediusのIgG力価が高いほど増加した。
歯周病原菌とADとの関連性が示され、高齢者ではその関連性がより強くなる可能性があります。
論文情報
掲載誌 | J Alzheimers Dis . 2020;75(1):157-172. |
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掲載日 | 2020年03月05日 |
DOI | 10.3233/JAD-200064. |