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ビタミンB12欠乏症および認知障害を有する患者におけるビタミンB12補給の効果-2022.04.02

2023年7月24日

ビタミンB12の血清レベルの低下は高ホモシステイン血症に関連し、高ホモシステイン血症が認知障害、および海馬を含む脳萎縮に関連しているとも言われている。

そこで、ビタミンB12の補給により、認知障害が改善するかどうかを検証した。

研究方法

福井大学病院または中村病院の認知症外来を受診したビタミンB12欠乏症(しかし、葉酸欠乏症ではない)の患者39 名 (平均年齢80.1 ± 8.2 歳、男性22名、女性17名) に対し、ビタミンB12摂取後(1,500μg/日、メチルコバラミン錠剤;エーザイ株式会社)のミニメンタルステート検査 (MMSE) および血清ビタミンB12レベル、血清ホモシステイン(Hcy) レベルを測定し、ベースラインと比較評価した(多施設、非盲検、単群研究)。

海馬の体積は、アルツハイマー病のMRI検査特定領域解析システム(VSRAD)の Z スコアを使用して推定された。

研究結果

患者39名のベースラインについて、MMSEの中央値は22であり、Hcyレベル(中央値:16.7 mmol/mL)とビタミンB12レベル(中央値は:142 pmol/L)の間に有意な逆相関がみられた。

ビタミンB12を摂取して21~133 日後に MMSE と Hcy を検査したところ(中央値 = 56 日、四分位範囲 (IQR) = 43~79 日)、平均 MMSE スコアは 20.5 ± 6.4 から 22.9 ± 5.5 に大幅に改善し、Hcy レベルは 22.9 ± 16.9 nmol/mL から 11.5 ± 3.9 nmol/mL に有意に減少した(平均ビタミン B 12レベルは 135.8 ± 27.5 pmol/L から 721.0 ± 523.1 pmol/L に変化)。

MMSE スコアの変化とベースライン Hcy 値の間に有意な相関関係が見られた。また、海馬萎縮とベースラインHcy値およびMMSE スコアの程度の間に有意な相関は見られなかった。

結論

ビタミンB12欠乏症の患者にビタミンB12を補給することで、海馬の萎縮に関係なく、短期的には認知機能が改善されることがわかった。

また、ビタミンB12補給後のMMSEスコアの改善の程度は、ベースラインのHcy値と相関することがわかった。認知機能の改善にはいくつかの要因が関係しているため、今後も研究が必要である。

 

論文情報

Influences of Vitamin B12 Supplementation on Cognition and Homocysteine in Patients with Vitamin B12 Deficiency and Cognitive Impairment

掲載誌 Nutrients. 2022 Apr; 14(7): 1494
掲載日 2022年04月02日
DOI 10.3390/nu14071494

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