プラセボ対照試験[FACIT(Folic Acid and Carotid Intima-mediaThickness)]を用いて、ベースラインのオメガ-3脂肪酸状態と認知機能低下に対する葉酸治療との相互作用を調査した。
研究方法
方法として、高齢者791名 (平均年齢:60.2±5.6歳、平均ホモシステイン濃度:13.3±2.9µmol / L、平均ミニメンタルステート検査スコア:28.6±1.5)を対象とし、葉酸800 µg/日を3年間毎日投与した。
グローバル認知とドメイン固有の機能(エピソード記憶、情報処理速度、実行機能)について、線形重回帰を使用したベースラインのオメガ-3脂肪酸濃度に対する葉酸補給の効果を分析した。
研究結果
結果、グローバル認知では葉酸投与によりすべてのグループで改善が見られた。とくにオメガ-3脂肪酸のベースラインが高い参加者よりも、低い参加者で有意な改善が見られた(オメガ-3脂肪酸を個別に観察したところ、葉酸とEPAに有意な相互作用が見られたが、DHAでは見られなかった)。
ドメイン固有の機能のうち情報処理速度について、グローバル認知同様の結果が見られたが、エピソード記憶(P = 0.14)および実行機能(P = 0.21)について、葉酸とオメガ-3脂肪酸の間に相互作用は見られなかった。
結論
結論として、認知機能に対する葉酸投与の有効性がオメガ-3脂肪酸の状態に依存していることを明らかにした。
とくに、オメガ-3脂肪酸のベースラインが高い人よりも低い人の方が葉酸の恩恵を受けた。
論文情報
掲載誌 | Am J Clin Nutr . 2021 Apr 6;113(4):801-809. |
---|---|
掲載日 | 2021年04月06日 |
DOI | 10.1093/ajcn/nqaa373. |