脆弱性骨折は、一般的に橈骨遠位部、股関節、および脊椎に発生し、認知症との関連性が示唆されている。そこで、橈骨遠位端骨折、股関節骨折、脊椎骨折後の認知症のリスクを評価するために、韓国に住む1,025,340名を2002~2013年まで追跡したコホート研究のデータを解析した。
研究方法
参加者のうち認知症と診断されたのは13,102名で、このコホートの中で2002年から2013年までに認知症と診断されたことのない参加者(コントロール群)41,548名と1:4で照合された。なお、年齢層は60-64歳、65-69歳、70-74歳、75-79歳、80-84歳、85歳以上と5年間隔で分類し、サブグループ分析では、参加者を年齢(70歳未満および70歳以上)、性別(男性および女性)、居住地域(都市および地方)で分けた。
研究結果
橈骨遠位端骨折、股関節骨折、脊椎骨折の発生率は、認知症群の方がコントロール群よりも高く、認知症のオッズ比(OR)は非骨折群よりも橈骨遠位端骨折群(OR=1.23)、股関節骨折群(OR=1.64)、脊椎骨折群(OR=1.31)で高かった。また、サブグループ分析でも、脆弱性骨折群で認知症に対して高いORを示した。
60歳以上の人では、橈骨遠位部、股関節、脊椎の骨折歴は、認知症のリスクを高める可能性があります。
論文情報
Increased risk of dementia after distal radius, hip, and spine fractures
掲載誌 | Medicine (Baltimore) . 2020 Mar;99(10):e19048. |
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掲載日 | 2020年03月06日 |
DOI | 10.1097/MD.0000000000019048. |