健康な地域在住高齢者の認知機能、気分におけるプロバイオティクスの有益な役割を調査するために、無作為化多施設二重盲検比較試験を実施した。
研究方法
対象は韓国(ソウル)在住、63人の健康な高齢者(65歳以上)とした。
カプセル状のプラセボ(大豆油500mg/粒)またはプロバイオティクス(ビフィズス菌ビフィダムBGN4+ビフィズス菌ロンガムBORIの合計:1×10^9cfu)のいずれかを2粒/回×2回/日、12週間摂取後、腸内細菌叢、認知機能、血清脳由来神経栄養因子(BDNF)を測定した。
研究結果
炎症を引き起こす腸内細菌(ユーバクテリウム、プレボテラ科の菌)の相対的な存在量は、プロバイオティクスグループの12週目に有意に減少した(p <0.05)。
また、認知機能のうち精神柔軟性テストとストレススコアも12週目に有意に改善し(p <0.05)、認知機能と関連を持つ血清BDNFもプラセボグループとは対照的に12週目に有意に増加した(p<0.05)。
特に、プロバイオティクスによって引き起こされるユーバクテリウム、クロストリジウムの減少と血清BDNFレベルは有意な負の相関を示した(R S = -0.37、R S = -0.39、p <.05)。
結論
健康な高齢者にプロバイオティクスを与えると腸内細菌叢が変化し、精神的柔軟性を促進し、ストレスを軽減することから、プロバイオティクスは健康促進特性を持つという裏付けの証拠となり得る。
論文情報
掲載誌 | J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2021 Jan; 76(1): 32–40. |
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掲載日 | 2020年04月17日 |
DOI | 10.1093/gerona/glaa090 |