軽度認知障害(MCI)の高齢者に対し、プロバイオティクスサプリメントの有用性を検証した。
研究方法
MCI患者20名(平均76.40歳)にプロバイオティクス(※)2g/日を12週間摂取させたRCT(ランダム化比較試験)を行った。血液および便サンプルを0週目、12週目に採取し、腸内細菌叢の測定値、血清学的指標を記録した。
MMSEおよびMoCA(認知機能スコア)、PSQI(ピッツバーグ睡眠の質指数)、GSRS(胃腸症状の評価)の4つのスケールを評価した。
※次の菌体を合計2×10^10cfu/g以上含む。Lactococcus lactis BioF-224, Bifidobacterium lactis CP-9, Lactobacillus rhamnosus Bv-77, Lactobacillus johnsonii MH-68, Lactobacillus paracasei MP137, Lactobacillus salivarius AP-32, Lactobacillus acidophilus TYCA06, Lactococcus lactis LY-66, Bifidobacterium lactis HNO19, Lactobacillus rhamnosus HNO01, Lactobacillus paracasei GL-156, Bifidobacterium animalis BB-115, Lactobacillus casei CS-773, Lactobacillus reuteri TSR332, Lactobacillus fermentum TSF331, Bifidobacterium infantis BLI-02, and Lactobacillus plantarum CN2018.
研究結果
プロバイオティクスの12週間介入後、MMSEスコアは有意に改善した(スコア27超え、とくに注意力・計算力・想起スコアが改善)。そのほか、MoCA(とくに視空間・実行力・想起スコアが顕著に改善)および睡眠の質(入眠時間・睡眠時間)スコア、GSRSスコアも有意に改善した。
総合すると、プロバイオティクスの摂取により、認知機能と睡眠の質が改善され、その根底にあるメカニズムは腸内細菌叢の変化と関連していることを示唆している。
結論
プロバイオティクスが高齢MCI患者の認知機能と睡眠の質を向上させ、MCIの臨床予防と治療に重要な洞察を提供することを実証した。
論文情報
掲載誌 | Geriatr Nurs . 2023 May-Jun:51:167-175. |
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掲載日 | 2023年03月28日 |
DOI | 10.1016/j.gerinurse.2023.03.006. |