クルミはオメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸の他にポリフェノールが豊富に含まれており、認知機能低下の2つの要因である酸化ストレスと炎症を抑制する。クルミの摂取が認知機能に及ぼす影響を検証するために、2年間に渡って行われた無作為化比較試験。
研究方法
2つのセンター(スペインにあるバルセロナ、カリフォルニア州にあるロマリンダ)における認知機能に問題がない708名の高齢者(63–79歳)を、1日約30~60g(最大15%エネルギー)のクルミを含んだ食事またはクルミを含まないプラセボ食にランダムに振り分けた。試験開始時と2年後に、認知機能検査を実施した。バルセロナの参加者には脳MRI検査も実施して評価した。
研究結果
バルセロナ参加者は喫煙者が多く、学歴の低い者が多かった。全体的な認知機能には変化がみられなかったが、バルセロナの参加者では知覚スコアが有意に改善した。またMRIの結果では、元のタスク関連領域外の脳領域の活動が増加した(加齢に伴う脳損傷への反応と関連した一般的なfMRI所見)。
クルミの摂取は、より多く喫煙した学歴の低い高齢者に対し、加齢に伴うワーキングメモリ効率ネットワークの低下を減らす可能性があります。
論文情報
掲載誌 | Am J Clin Nutr. 2020 Mar 1;111(3):590-600. |
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掲載日 | 2020年01月07日 |
DOI | 10.1093/ajcn/nqz328. |