認知症の有病率には性差があることが知られているが、そのメカニズムは分かっていない。しかし、動物モデルにおいて出生前のホルモン環境が認知症発症の性差に影響を与えている可能性が示唆されているため、出生前のホルモン環境が認知症リスクに及ぼす影響を調べるために、60歳以上の同性および異性の二卵性双生児ペアの43,254名を比較した。
研究方法
分析サンプルは、13,348名の女性同性双子、11,710人の男性同性双子、9,274名の女性異性双子、8,922名の男性異性双子で、アポリポ蛋白E(APOE)ε4の情報を持つ双子はサブサンプルとして分析した。認知症情報については、研究チームによる臨床診断またはスウェーデン国立登録簿のいずれかから入手した。
研究結果
異性ペアの女性は、同性のペアの女性よりも認知症リスクが有意に低い(オッズ比=0.37)が、その違いは70歳以降にのみ現れた。また、APOEε4を持たない人は認知症と診断される可能性が最も低かったが、双子のタイプとAPOEε4の間との間には有意な差は見られなかった。
出生前のホルモン環境が男性的であることは、女性の認知症リスクの低下と相関している可能性があります。
論文情報
Dementia risk in women higher in same-sex than opposite-sex twins
掲載誌 | Alzheimers Dement (Amst) . 2020 Jun 21;12(1):e12049. |
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掲載日 | 2020年06月21日 |
DOI | 10.1002/dad2.12049. |